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題 皇家の宴

新芽より 泉が如くに

溢れども

心も姿も 見えぬともがら

伯華)

 

足らずより 足りしを知るは

我のみぞ

君が笑みにて ただ足るを知る

(光理)

 

 

裏庭の 蔦葛あり 酔いなれば

我は立ちぬる 君が背に寄り

(仙水)

題 公主の帰京

待ちわびし 君の文なき 

日々泣きを 

今改めてたつ 

故郷(くに)の雲霞に

伯華)

面影も やつれはてたり

身であれど

一目と願わん 君は気づきか

(光理)

 

 

血塗られし 身の穢れ解く 

術もなく いかにて会えと

妻の瞳に

(仙水)

題 夏の蛍光

見上げしは 夜空の蛍 満天に

君が姿を 一人求めん

伯華)

 

限りあり 

知りつつ願う 果てなきを

その懐の 温もりを追い

(光理)

 

 

身を焦がし

燃ゆる命と なりぬれど

悔やむことなし 我の道ゆく

(仙水)

派閥題 観世

 

世に見ゆる 幾年すぎし 四季あれど

君なき時ぞ 我は虚しき

伯華)

闇とても 光がごとく あきざまに

このまなこにて 世の果てを見ん

(光理)

 

 

知らぬ間に 移りゆく世の 浅はかさ

​我が身のみただ 残りゆくかな

(仙水)

題 出遊

 

懐かしき 故郷の地に 今立ちて

今宵覚ゆる 長き日の夢

伯華)

若き日に 見えし景色と 変わりしか

ただ変わらずや 君や尊し

(光理)

 

 

戰場の 果てに見ゆるは 夕闇の

眠りし人の 身をぞ守らん

(仙水)

題 春爛漫

 

花開く 季節の果てに 我はおり

遠く見ゆるが ごとき桜や

(​伯華)

人の世の 満ち足りしとき 短かきも

花の命と 比べるやなし

(光理)

 

 

血染めなる 刃の先に 花落つと

​君の命を 遠く思えば

(仙水)

題 初秋の狩猟

 

鹿ぞ鳴く 隠れ蓑なる 彩葉あり

我が子恋しと 鹿ぞ鳴く

伯華)

実を結び 命繋ぎし 花の果て

色褪せし葉も かくぞ愛しき

(光理)

 

 

狩られしは 我妹子とも 思はゆる

​か弱きものの 牙無かりしを

(仙水)

題 琴音

よに聞きし 琴の音誘う 眠りなば 

いかに悪しきの ものをこと去れ

伯華)

奏でしは 誰を想ひて 弾くかと

人問いたもれ 我が胸のうち

(光理)

手を添えて 触れし糸さえ 愛しくも

​音に出でけり 秘めし恋かも

(仙水)

題 引月祭宴

穢れなき 新月の夜に 君を抱く

髪一筋の 曇りなき闇

伯華)

鎮魂の 輝き満つる 月の夜に

我が身限りの 涙累々

(光理)

我知らず 誘いいでたる 夏の夜に

​満つる月あり 天の頂き

(仙水)

題 西廂の曲

風流る 雲追い雨の 誘い咲く

花も潤い 我が頬も濡れ

伯華)

最果てと よばれし土地に 命あり

まだ見ぬ夢を 想い漂う

(光理)

誰ぞ知る はるかな国の その歌を

​君に聞かせん 息のある間に

(仙水)

題 桃源郷

荒野とて 荒波砕けし 岩礁に

花一輪の 君が如くに

伯華)

胸の内 秘めたる想い あきざまに

君が心に 我は住みけり

(光理)

夢現 夢ならばあれ 我が眼

​しかと開きて この地なすなり

(仙水)

題 探梅

山深し 鳥の声のみ 近き春

開き初めにし 梅を探して

伯華)

枝先の 雪に埋もれし 花一輪

その命をや 愛し君かも

(光理)

深窓の 君の髪にぞ 飾りたき

​花を求めて 冬の山入る

(仙水)

題 墨の香り

懐かしき 君のもんじの 細き線

書き記したる 書をぞ抱きて

伯華)

狂おしき 声にならざる 想いをば

​文にて託す 隣席の君

(光理)

墨すれど 言葉なきまま 乾きける

白き紙のみ 君に送らん

(仙水)

題 絶世の舞

ここにあり そが証とて 足掻き立ち

笑むこそ君の 一瞬の舞

伯華)

なす事の 儚き夢と 知りつつも

ひとつの舞に 命かけなん

(光理)

死してなお 師の教えなん 我にあり

共に舞いたき その剣をば

(仙水)

題 元宵の祭り

祈りをば 叶えしものと 誰ぞ知る

​時の果てにて 君とまみえし

​伯華)

のぼり行く 陽にも月にも 願いなむ

巡りて頼む 星の光に

(光理)

明き灯の 君に重ねし 想いさえ

​はるか闇にて 一つ消えゆく

(仙水)

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